【2024年版】ジビエ処理の進化と広がる食の最前線

2025/07/03 ブログ

2024年現在、日本のジビエ処理体制は大きく進化を遂げています。かつては猟師が自ら山中で血抜きし、簡易的に解体・搬送していた時代でしたが、今や処理は専門の「食肉処理施設」で行われ、衛生・温度・スピードの三拍子を徹底する体制が整っています。

捕獲された鹿や猪は、2時間以内に施設へ搬入され、芯温を2℃以下に下げることが義務づけられています。施設ではHACCPに準拠した工程で内臓摘出、血抜き、枝肉処理がなされ、検査や放射能測定を経て初めて食用として出荷されます。この徹底管理により、寄生虫や細菌、鉛中毒のリスクは大幅に低減され、ジビエ肉は“安全な選択肢”として認知され始めています。

こうした信頼性の向上とともに、都市部の飲食店ではジビエ肉の提供が急増。特にここ数年は「低脂質・高タンパク」な鹿肉に注目が集まり、ヘルシー志向の若年層や女性層から支持を得ています。都内では鹿のローストや猪のボロネーゼ、鴨のコンフィなど、ヨーロッパ風のアレンジを取り入れたメニューが人気。また、フランス料理やイタリアンに限らず、ラーメンやバーガー、スパイスカレーなどのカジュアル業態にもジビエが進出し、“ジビエ=特別な料理”というイメージが徐々に変わりつつあります。

流通の面では、各地の処理施設からクール便や冷凍便で全国へ発送されるほか、自治体や地域ブランドによるオンライン直販も拡大中。さらに、カット済み真空パックやスライス済み商品、ハンバーグやソーセージといった加工品も豊富に揃い、飲食店の現場でも使いやすくなっています。

また、家庭用への商品展開も盛んで、レトルトカレーや缶詰、ジャーキー、ペットフードなど多角的な開発が進行中。鹿骨スープやジビエエキスを使った無添加スープなども登場し、日常的にジビエを楽しむ土壌が広がりつつあります。

衛生面においては、「国産ジビエ認証制度」の普及が後押しに。認証を受けた施設では、個体管理番号付きのラベルが貼られ、獲れた場所や処理日が明記されており、飲食店や消費者が安心して購入できるようになっています。こうした情報開示の徹底も、ジビエの“信頼食材”化に大きく貢献しています。

安全で、健康的で、そして持続可能——2024年のジビエは、ただの“山の恵み”ではなく、現代のライフスタイルにフィットした新たな選択肢として、多くの食卓に届いています。ジビエをめぐる環境は、今まさに“獲る・捌く・届ける・食べる”のすべてがプロフェッショナルに洗練されているのです。